今回は、「シングルタスク」と「マルチタスク」についてお話をしていきます。
といってもこの内容は、すでに世の中に多く出回っておりますので、周知している方も多いと思いますが、復習の意味で読んでいただければ幸いです。
そもそもタスクとは?
タスク / task
一般的に「タスク」とは、一定の「仕事」「業務」「作業」などを意味します。
ビジネス、家庭の両方でそれぞれ例を挙げてみますと、
- メールをチェックする
- レポートを提出する
- ミーティングを開催する
- 洗濯をする
- 買い物に行く
- 夕食を作る
大雑把な作業項目というようなイメージになりますでしょうか。
「タスク」は、他にも「IT・コンピュータ」や「プロジェクト管理」などで使う場合もあり、その場合は若干意味合いが異なってきますが、ここではあくまでも一般的な「タスク」についてお話ししていきます。
to do
ちなみに「タスク」の類語に「to do」という言葉があります。こちらは、作業などを最小限に分解した「やるべきこと」を意味します。先の「メールをチェックする」の例でいえば、
- メールをチェックする > 内容を分解して
- 未読メールを読む
- 重要度を確認する
- 重要度に応じて対処にかかる時間を配分する
- 返信が必要なメールに返信する
- 不要なメールをアーカイブまたは削除する
このように、タスクをより細かく分解した「動作」や「行動」がそれに当たります。
また「タスク」との違いは、「タスク」はある程度の期限が設定されている場合が多く、「to do」の場合は、その期限が曖昧または無い、という点で異なります。
そのため「to do」をリスト化した、いわゆる「to do リスト」は、タスクのように「期限」を軸に処理するだけでなく、「優先度」であったり「時間配分」であったりとその処理方法はまちまちで、時にはあえて無視し、そのまま終了となる場合もあります。
そういう意味では「to do」はフレキシブルなものといえるでしょう。
シングル・マルチって?
シングルタスク
「シングルタスク」とは、その名の通り、シングル=ひとつの作業に対しリソースをそこに集中して処理することを意味します。そのため、ひとつの作業を完了してから次の作業に取り掛かるという流れになるため、周りから見ると、ずっとその作業ばかりしているとみられがちになります。
マルチタスク
「マルチタスク」とは、一般的に、マルチ=同時に複数の作業を並列で処理することを意味します。ビジネスの例で言うと、
- 売上レポートを読みつつ、
- 次回のミーティングの資料をまとめ、
- カレンダーでスケジュールを確認し、
- 関係各人に案内メールを書いている
このような作業をパソコン画面の各ウインドウで立ち上げ、それを同時におこなっているという感じでしょうか。
世間一般的に、「シングルタスク」より「マルチタスク」をそつなくこなす人の方が優秀である、と評価する傾向が強いようです。
マルチタスクの罠
「マルチタスク」をしているといっても、本当の意味で作業を同時並列的に処理できる人間は、実は人口全体の約2%程度と言われています。
つまり、その他の残り98%の人は「マルチタスク」をしているつもりで、単純に「シングルタスク」の切替え作業を高速でおこなっているだけで、内容としてはあくまでも「シングルタスク」を各個処理しているに過ぎません。先の「例」でも、実際は各ウインドウを切り替えて作業しているだけなのです。
この「シングルタスク」の切替え作業というのが、実は脳にとってかなり負担になっていることをご存知でしょうか?
タスクを切り替えるということは、
- 実行中の作業Aを中断する
- その作業Aの状態を記憶する
- 次の作業Bを始める
- その作業Bを中断する
- その作業Bの状態を記憶する
- 作業Aの記憶を探す
- 作業Aの記憶を呼び出す
- 作業Aの記憶を中断前の状態に戻す…
このような処理を、脳は瞬時に対応していかなければならず、このタスクを切替えるという行為だけでも相当負荷がかかる上、その作業ひとつひとつを処理していくのですから、その負担は想像する以上に大変です。
身近なモノで例えますと、「パソコン」や「スマホ」で、アプリを同時に複数を動かしている場合、本体の熱がこもったり、動作が遅くなったりすることがありますが、「マルチタスク」をしている脳も、これと同じ状況に陥ります。
人間より優れている機械でも大変なのですから、人間が対応するには限界があるというのが、おわかりいただけるでしょう。
マルチタスクのパフォーマンス
では実際にマルチタスクをおこなうとどうなるのでしょうか? さまざまな研究において「マルチタスク」は「シングルタスク」に比べて、
- パフォーマンスが40%低下
- IQ が15ポイント低下
- 記憶力、注意力の低下
- モチベーションの低下
このような研究結果が数多く報告されています。「マルチタスク」をおこなうことによって、結果的に作業効率も落ちますので、その多くはデメリットにつながるといえます。
なお、無意識下で実は「マルチタスク」をしている場合があります。例えば、
- 作業中に電話が鳴ったので出る
- メールの通知が来たので見に行く
- Twitter や LINE の通知が来たので見てみる
- 作業中、スマホを見る
実はこういった行動はすべて「マルチタスク」と変わりありません。集中力が途中で遮断されてしまい、脳はまた別の処理を始めなければならず、その負担は、結果的にパフォーマンスなどに跳ね返ってきます。
ながら作業は?
音楽を聴きながらの方が集中力が上がるから、自分は「マルチタスク」ができている、という方もいるかもしれません。厳密には「ながら作業」と「マルチタスク」は別物なので、意味合いが異なります。
「ながら作業」はいわば、単純労働や行動に、意識しなくてもいいレベルの別のアクションを取り入れているというもの。習慣化されている行動や、小脳で動く身体の動きといったレベルと組み合わさっているもので、それ自体にはほとんど意識は向けられていません。
一方「マルチタスク」は、作業を同時またはスイッチングしながら進行しているという意味で、タスクひとつひとつに意識が向けられているものであり、脳が常に両方またはそれ以上のことを意識している状態を表します。
音楽を聴きながらという「ながら作業」は、心地よい BGM を聴き、他の情報をカットするという意味もあって集中力が上がる要素でもありますが、ひとたび音楽に意識を集中しすぎると、他の行動が疎かになりやすいという問題も含んでいます。
また、これは別の「ながら作業」にもいえることで、やはりどこかに意識を集中すると、その他のことに対する意識や注意レベルが下がり、場合によっては危険を伴うこともあるので注意が必要です。
分散作業
「マルチタスク」は本当にできないのか? という疑問に対して、「時間を有効活用」し「他に任せる」ことができるものについては、可能だと考えます。
どういうことかと言いますと、家庭内でいえば、
- 洗濯しながら、
- ご飯を炊きつつ
- 部屋の掃除をする
このような場合は、作業を同時に進めることができるでしょう。
なぜなら「洗濯」はセッティングして洗濯機をスタートしてしまえば、あとは終了まで手を出す必要はなく、ご飯も炊飯器を使えば、セットしスイッチを押すだけ。その間に掃除すれば、同時に3つの作業をこなしたことになります。
こういう組み合わせができる作業は、時間を有効的に活用できるもので、作業を自分以外のモノ(この場合は機械)に任せることができれば可能です。
これはビジネスにもいえることで、何でもかんでも自分で処理せずに、仲間などに仕事を分散することでマルチに展開することが可能となります。ただし、あくまでも自分ひとりで「マルチタスク」をこなしたいという場合は、スーパー・タスカーと呼ばれる2%の人間にならない限り難しいでしょう。
シングルタスクに全集中
もっとも効率よく作業を終わらせるためには、「マルチタスク」で処理するのではなく、「シングルタスク」でひとつの作業を一気に集中して処理した方が、最終的な効率は高くなります。
むしろ「マルチタスク」しているつもりになって、脳に負担をかけて作業していると、パフォーマンスは下がり、注意力も散漫になるうえ、ミスが連発、という散々な結果になってしまう可能性が考えられます。
あれもこれもと分散して取り掛からずに、目の前の作業に全集中して処理していくことが賢明です。とくに仕事上、パソコンであれもこれもウインドウを開いて作業していると、意識も注意力も散漫してしまいますので、できるなら実際の作業と関係ないアプリ・ソフトは一旦閉じて本作業に集中するといいでしょう。
また、作業中他からの情報が入ってくると集中が途切れてしまいますので、集中したい場合は、できるだけ外部からの情報が入ってこないよう、スマホをしまうなど対策が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最初にも述べましたとおり、今回の内容は「すでに知ってるよ」「今さら何を」という意見の方も多くいることを理解しています。ですが、意外と「シングルタスク」を実践している方は少ないように見受けます。
なぜなら、世の中まだまだ仕事は並行作業が美徳で効率がいいと考えている方も一定数おりますし、それを強要してくる方がいるのもまた事実。また知らずに、もしくは無意識に作業を取り込んでしまい「マルチタスク」に陥っている方も多いことでしょう。
シンプル・ミニマルな考えにも通じますが、とくに頭を使う「思考作業」は極力シンプルに簡単にするのがベターです。とくに自分自身にかかる負荷などを考えると、「マルチタスク」ではなく「シングルタスク」で作業に取りかかる方が、結果的に効率もパフォーマンスも向上できます。
タスク処理をおこなう際は、あらためてその性質を考えながら、うまく処理・対処していただきたい、そんな願いを込めて記事にしてみました。これがなにかの参考になれば幸いです。
ルルルのひとこと:iPad がパソコンのようにマルチウインドウに対応しなくても、シングルタスクをこなすという意味では理にかなっているのかもしれません