今回は、社会人になるとよく聞かされる「5S」について、その中身と今後の提案についてお話していきます。
そもそも 5S とは?
みなさんは「5S」という言葉を聞いたことがありますか? 工場やサービス業などの現場では毎日のように聞かされている方も多いかもしれません。
具体的には、「整理 Seiri」「整頓 Seiton」「清掃 Seisou」「清潔 Seiketsu」「しつけ(躾) Shitsuke」のローマ字の頭文字をとって「5S」と呼ばれています。簡単な内容と「英語表記」についてご紹介します。
整理 / Sort
必要なものと不要なものを区別して、不要、不急、不適切なものを取り除くことを指します。英語で書くと「Sort」。分類する、区分するというような意味でわかりやすいですね。
整頓 / Set
整理された必要なものを、場所や数量を決めて、いつでも利用可能な状態に配置することを指します。英語で書くと「Set」。特定の場所に置く、位置づける、固定するなど、こちらも英語の方が理解しやすいかもしれません。
清掃 / Shine
掃除をしてきれいにし、不具合や異変にすぐに気がつけるように整えることを指します。英語で書くと「Shine」。これはちょっと強引のような気がしますが、ピカピカにしてきれいにするという意味から来ているのかもしれません。
清潔 / Standardize
「整理」「整頓」「清掃」を継続し、常に清潔な環境を維持できるようにすることです。英語で書くと「Standardize」。標準化するという意味では「清潔」という言葉より、より本質的な意味になっていると感じます。
しつけ / Sustain
上記行動を、全員が必ず守って実施できるように習慣化することです。英語で書くと「Sustain」。維持する、継続するという言葉のほうがしっくりきます。
「5S」の違和感
この一般的な現場管理の基本活動である「5S」について、初めて聞いた当初より、違和感を感じていました。それは「しつけ(躾)」という言葉。もちろん、意図している意味は理解できます。
ちなみに厚労省のHPではこのように書かれています。
「しつけ」は、決めたこと、教わったことを必ず守るように指導することです。挨拶や言葉づかい、話し方、服装のほか、作業標準を守る、ものを定められた位置に置く、機械機器は決められた方法で取扱操作するなどの仕事の手順を教育することを含みます。
引用元:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」より
ここにも記載があるように、一般的な解釈ですと「しつけ」は「指導する」という意味合いが強く出てきてしまいます。つまりこの言葉は、監督する側の見方であって、「5S」活動を聞いて実践する一般向けの言葉とは考えにくいのです。
また、言葉が持つイメージからどうしても「しつけ」には、親や教師が子供に対しておこなう教育、訓練という意味合いが強く、大人に対して使う言葉としては、若干ネガティブ要素が含まれ、ここに違和感を感じてしまう方も少なくないと考えられます。
あらたな「5S」としての提案
自分も年齢を重ね新人の方たちに教える立場となり、「5S」を説明する機会も増えていく中で、自分の中で消化しきれていない言葉を使用することにひどく抵抗感がありました。そんなモヤモヤを抱えながらいろいろ悩んだ末に、ふと気がついたのが「習慣化」という言葉でした。
こちらであれば、ネガティブなイメージもなく、また英語の「Sustain」の意味にも合致します。むしろなぜこの言葉を選択しなかったのかと感じてしまうほど、しっくりしたのを今でも覚えています。
このことをふと思い出して Tweet したところ、普段反応が少ない我が Twitter ではめずらしく、多くの方からイイねをいただきましたので、今回あらためてブログに書き起こしてみた次第です。
「5S」は、日本らしい発想から生まれたであろう素敵な活動で、今では海外でも広く使われています。その日本語の言葉の印象が悪くて違和感を覚えてしまう方がいるのは非常にもったいないと感じます。
「5S」の最後「しつけ」に違和感を感じる方は、ぜひ「習慣化」という言葉に置き換えて使ってみてはいかがでしょうか。
ルルルのひとこと:「整理」「整頓」「清掃」「清潔」そして「習慣化」!