今回は、オートファジーを有効活用する16時間の断食、ファスティングについて、その意味や簡単な解説、やり方・実践方法などをご紹介していきます。
オートファジーや16時間断食、ファスティングに興味がある方、意見を聞いてみたい方など、ぜひ参考にしてみてください。
それでは、さっそくみていきましょう。
オートファジーってなに
オートファジーとは
まずはじめに、そもそもオートファジーってなに?という方も多いでしょう。もしくは、これからオートファジーのファスティングをしてみたい、という方もいるかもしれません。
オートファジーを簡単に説明するとこちら。
オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。下記のギリシャ語から自食(じしょく)とも日本語訳される。 (中略)auto-はギリシャ語の「自分自身」を表す接頭語、phagyは「食べること」の意
引用元:wikipedia【オートファジー】
これだけ読むとなんだか怖い話のように見えますが、オートファジーは生物が生きる上で、とくに危機的状況において、生命維持のために必要な機能のひとつと考えられています。
オートファジーの機能や効果は、以降で詳しくみていきます。
オートファジーの機能
オートファジーは、簡単にいえばタンパク質を分解し、また新しいタンパク質を合成する環境を作り出す機能といえます。
オートファジー機能が働くと、体内の古いまたは壊れた細胞、異常もしくは過剰なタンパク質などを分解していき、ペプチドやアミノ酸などを生成、より重要度が高い新しいタンパク質に作り変えていきます。
他にも、細胞内に侵入した病原性微生物や細菌を排除する機能もあり、生命活動の恒常性を維持する働きがあります。
オートファジーの効果
オートファジーが機能し、細胞が新しく作り変えられた結果、おもに下記の効果があると考えられています。
- がん、糖尿病などの生活習慣病予防
- アルツハイマー型認知症予防
- 感染症予防
- 肌、筋肉などの老化防止、アンチエイジング
つまり、オートファジーの活動により体内の環境が改善され、病気になりにくく、健康的で若々しい身体を得ることが可能となります。
また、オートファジーの働きは、薬やサプリメントなどの外的な力を借りずに、人間がもともと持っている本来の力のみで改善できる点でもっとも安心な方法といえます。
マクロファージとの違いは?
オートファジーに似たような機能としてマクロファージがあります。
マクロファージ(Macrophage, MΦ)は白血球の1種。生体内をアメーバ様運動する遊走性の食細胞で、死んだ細胞やその破片、体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を捕食して消化し、清掃屋の役割を果たす。とくに、外傷や炎症の際に活発である
引用元:wikipedia【マクロファージ】
マクロファージは、白血球の一種で体内に常に存在し、細菌やウイルス、死滅した細胞などを取り込んで処理・分解する機能です。
一方、オートファジーは特定の条件下で発動する特殊な機能で、通常下ではほぼ活動を停止している状態です。
またマクロファージの細胞の処理・分解という機能とは異なり、オートファジーは細胞のリサイクルに近い機能であるというのも相違点となります。
ちなみにオートファジーの優れた機能として、マクロファージで取り逃がした細菌の一部を捕獲して分解する機能があり、これにより最終防壁として、微生物による感染から生体を守っているとされています。
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オートファジーの発動条件
オートファジーは「細胞が飢餓状態」になるなど、細胞レベルでストレスが加わらないと発動しない特殊な機能です。
そのため、一般的な生活においてオートファジーを発動させようとするなら、一番の方法は「何も食べない時間」をある一定時間経過させる必要があります。
医学博士の青木厚医師によると、オートファジーは最後に食事を摂取してから約16時間後に発動・活発化するとされています。
補足
オートファジーの研究について、2016年に日本人の生物学者大隅良典博士が「オートファジーの仕組みの解明」したことでノーベル生理学・医学賞を受賞しています。日本人ってほんとにすごいですね!
ファスティングってなに?
ファスティングとは
ファスティング(Fasting)とは、日本語で「断食」「絶食」と訳され、一定期間飲食などの摂食を絶つ行為を指します。
「断食」と聞くと、一般的なイメージとしては、長時間何も食べない・飲まない過酷な修行、または宗教的な儀式と考える人も多いでしょう。
なお、日常的におこなうファスティングの場合、日本語で表記するなら「断続的断食」または「間欠的断食」という方が、よりニュアンスが近いかもしれません。
ファスティングの目的
ファスティングの目的は大きく分けてふたつ。
ひとつは、最もイメージが湧きやすい宗教的儀式。
ファスティングはもともとは宗教的、慣習的な要素が強く、その行動は、世界の数多くの宗教の儀式や行事、修行の一貫として取り入れられていることでも理解できます。
有名なところではイスラム教のラマダーンではないでしょうか。
もうひとつは、デトックスや美容などの健康面の改善というアプローチ。
ファスティングを取り入れることで体内の状態をリセットし、美容や健康のためのベースを整えようという考えです。
ファスティングの種類
ファスティングを実際におこなう場合、大きく分けて3種類の方法があるとされています。
- 隔日断食(Alternate-day fasting)
- 定期的断食(Periodic fasting)
- 時間制限式断食(Time-restricted feeding)
隔日断食
こちらは言葉のとおり、ファスティングする日と普通に食事をする日を交互におこなう方法です。
ファスティング日のカロリー摂取を、ゼロまたは通常時の25%にするなどの選択肢がありますが、どちらも通常の生活の上では、かなりハードな方法となります。
定期的断食
こちらも言葉のとおり、定期的にファスティングをおこなう方法となります。
よくあるパターンとしては、1週間のうち、2日間はファスティング日、残り5日間は普通に食事をする日という方法が一般的です。
この場合、ファスティング日のカロリーはゼロまたは1日の摂取カロリーを500-700Kcal以下に制限する方法などがあります。
時間制限式断食
ここでは「時間制限式」と訳していますが、人によっては「時間制限付き断食」という場合もあります。
こちらは、1日24時間の中で、一定の時間帯をファスティングに当て、それ以外は普通に食事をする方法です。
オートファジーのためのファスティングもこの方法のひとつで、1日24時間のうち16時間をファスティングにあて、残りの8時間は普通に食事を摂取する方法となります。
ファスティングの効果
多くの研究や論文で、ファスティングは下記のような一定の健康的効果があると報告されています。
- 体重減少
- インスリン抵抗性を改善
- 空腹時のインスリン減少
- ガンのリスクの低下
- 脳機能、記憶、心血管系および代謝系の健康を改善
ファスティングの注意点
ファスティングの種類において、どのパターンにもいえることですが、必ず「断食・絶食」と「摂食」を交互に繰り返すということが重要になります。
エネルギーの供給(摂食)と、エネルギーの完全燃焼(断食・絶食)というスイッチングをおこなわないで、ただ単純にエネルギーのカット(断食のみ継続)しても、それは逆に健康を阻害し、最悪筋肉や骨まで分解してしまう結果となります。
オートファジーのファスティング、16時間断食の効果とは?
では、オートファジーを有効活用するファスティング、16時間断食の効果はどうなるのでしょうか。
オートファジーのファスティングをする大きな理由は、ダイエット目的ではなく、
- 内蔵を休ませる時間を作る
- オートファジーを活用して体内を健康にする
こちらが本来の目的となります。詳細を見ていきましょう。
1. 内臓を休ませる時間を作る
近代になり、生活水準も上がって飽食の時代に突入。気がつくと人は常に何かを食べることができる環境で生活することができるようになりました。
そうすると、過食はもちろん、寝る前の食事や間食、アルコールなども手伝って、お腹の中には常に何かが入っている状態が続くようになります。
こうなると、内臓は休む暇がありません。人が寝ている時間に消化活動をして、ようやく終わったとしても、朝にすぐ食べ物が送られてくる、ということが日常的になります。
内臓の疲弊に伴い、結果として身体全体の調子も悪化し、回復することが難しくなります。
これを改善するために、内臓を休ませてあげる時間を意図的に作る必要があります。
これがひとつ目の目的です。
2. オートファジーを活用して体内を健康にする
ふたつ目の目的は、16時間の断食・ファスティングをおこない、一時的に体内を飢餓状態にすることでオートファジー機能を活動させ、体内の古い細胞や壊れた細胞(正確には細胞内のタンパク質)を分解、新しいタンパク質を合成する環境を作り出すことです。
これにより生み出される新しいタンパク質は、より重要度が高いものが優先されると考えられています。
また、オートファジーが働くことによって、過剰なタンパク質や細胞質内に侵入した病原微生物やウイルスを排除し、結果より良い健康な環境を手に入れることが可能になります。
ただし、オートファジーは飢餓状態にならないと発動しないため、あえて空腹時間を作り出す必要があります。
オートファジーのファスティング、16時間の断食のやり方
オートファジーのファスティング方法について、実際にどういうやり方をしているのか気になる人もいるでしょう。
下記に筆者のやり方・実践方法を簡単に説明します。
なお実践される場合は、ご自身の生活状況や対応可能な範囲に応じて各自調整しながら進めてください。決して無理はされませんように。
それでは具体的にみていきましょう。
1日16時間の空腹時間を作る
オートファジー機能が活動するためには、細胞の飢餓状態が必要といわれています。細胞の飢餓状態とは、体内のエネルギーが枯渇している状態を指します。
人間は糖質を摂取することでエネルギーを得ていますが、これが余剰になるとグリコーゲンとして第1保管庫(筋肉や肝臓)に、それでも余ると脂肪として第2保管庫(脂肪細胞)に保管します。
外からのエネルギー源を断ち(ファスティング・断食)、空腹状態が10時間を経過すると第1保管庫(肝臓)のグリコーゲンが枯渇し、次に第2保管庫(脂肪細胞)の脂肪をエネルギー源として消費していきます。
そうして空腹状態が16時間を経過すると、栄養が行き渡らずに飢餓状態となった細胞を救うため、オートファジー機能が働き、タンパク質の分解・リサイクル活動をはじめるといわれています。
つまりオートファジーの機能を活用するためには、16時間空腹状態を維持(断食)する必要があります。
睡眠時間を活用する
16時間の断食をする上で重要なのは睡眠時間との組み合わせです。睡眠中は必然的に飲食することはできませんので、この時間帯をうまく活用しましょう。
睡眠時間を仮に8時間とすると、残り8時間を睡眠の前後に割り振ることができれば、それほど苦労することもなく16時間の断食をすることが可能です。
たとえば筆者の場合は、夜20時から翌日のお昼12時までの16時間を断食にあてています。自分のライフスタイルに合わせて取り入れてみましょう。
摂食タイムの8時間は自由に飲食する
16時間の断食以外の摂食可能な8時間は、とくに気にせずに自由に飲食しても大丈夫です。
「お腹が空き過ぎてがっつり食べちゃうかも?」「断食後は、胃に優しいお粥じゃなきゃダメでは?」という心配もありますが、16時間程度の断食ではそれほど影響はありません。
また続けていくと、次第に胃の許容量が減少していくので、いつもより少ない量で満足するようになります。
ファスティング中にナッツやヨーグルトを食べてもいい?
よくいわれる空腹時に「ナッツ」や「ヨーグルト」を食べつつファスティングを実施するという方法ですが、一般的なファスティングであればそれで問題ありません。
ただ、オートファジーのためのファスティングの場合、細胞レベルで飢餓状態の環境を作る必要がありますので、基本的にはナッツやヨーグルト摂取しない方がいいと考えます。
胃の中に食べ物が入ると消化作用などで内蔵が活発化し、せっかくの細胞の飢餓状態が失われてしまいます。
また、早く身体が空腹状態に慣れるためにもナッツも含めファスティング時間中はあえてなにも食べない状態を推奨します。
なおガムですが、こちらはかなりの量の糖質が入っていて、唾液と共に無意識にエネルギーを吸収してしまうのでNGです。
ファスティング中の飲み物は?
こちらもよくいわれる「薄めのコーヒー・お茶はOK」という解説が多いですが、コーヒーにはカフェイン、お茶にはカフェインに加えカテキンも含まれており、内臓を刺激します。
カフェインなどで胃が刺激されると胃酸の分泌が多くなり胃が荒れる場合もあります。ですので空腹状態のファスティング中は極力避けた方がいいでしょう。
水分補給は、水または白湯がおすすめです。
1日1食?2食?
16時間の断食・ファスティングを実践する場合、必然的に食事ができる時間は8時間以下となります。
その8時間で効率よく必要なエネルギーと栄養を摂取できるのであれば、1日1食でも2食でも問題ありません。
筆者は、1度でエネルギーや栄養を摂ることは難しいと考えますので、お昼(12時)と夕食(19時)の2食を食べるように心がけています。
毎日継続しないといけないの?
本人の体調や健康、生活状況などを考慮しなければなりませんが、週に1-2回でも内臓を休ませるという意味では、オートファジーの効果はあると考えられます。
ただし、当然ですが毎日続けるよりはるかに効果が現れにくいので、モチベーションの維持が難しくなります。
目に見える効果を確認したいのであれば、週の半分程度は継続できるようにチャレンジしてみましょう。
筆者の場合は毎日実践し続けていますが、2ヶ月も経過するともはやそれが日常の光景となります。
どうしてもファスティングができない日がある
毎日実践していると、どうしてもファスティングができない日も訪れます。そこは無理してがんばらず一休みして問題ありません。もしくは時間をずらして挑戦するのもいいでしょう。
短期的な効果を期待するのではなく、長期的にみて健康を維持する方法として取り組むように心がけましょう。
ファスティングや断食を長時間やってもいい?
オートファジーは飢餓状態で働きはじめるメカニズムですが、それは生命(細胞)の維持のためであり、あくまでも一時的なものです。
オートファジーを有効的に活用するファスティング・断食は、16時間を目安にしつつ、最長でも24時間以内に一旦栄養を補給した方がいいでしょう。
筆者は、オートファジーの有効活用をさらに検証するため、週に1回・20時間から24時間程度の断食・ファスティングをおこなうリセットデーを設けていますが、それでも最長は24時間にとどめています。
運動をしてもいいの?
オートファジーのファスティング、16時間の断食中に、そもそも運動ができるのか疑問に思う方もいますが、結論からいうと運動することは可能ですし、むしろ推奨します。
16時間断食をしているので、エネルギーを確保しようとしてどうしても体内からエネルギー源を絞り出すため、脂肪や筋肉が分解されていき次第に筋力も落ちていきます。
運動の時間帯と食事の組み合わせをバランスよくとりつつ、可能であれば適度の運動と筋トレを実施した方がいいでしょう。
ダイエット目的であれば断食開始から10-12時間後から、筋トレで筋肉を残したいなら食事後2-3時間後に実施するのが有効的と考えられます。
ちなみに筆者は、オートファジーのファスティングをはじめてからジョギングの調子がよくなり、今では早朝に1時間・10km走ることができるようになりました。
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オートファジーのファスティング、16時間断食の効果・メリット
オートファジーのファスティングを実践すると、これまでの説明で見てきたように、オートファジーの効果とファスティングの効果、両方の恩恵を受けることができます。
- がん、糖尿病などの生活習慣病予防
- アルツハイマー型認知症予防
- 感染症予防
- 肌、筋肉などの老化防止、アンチエイジング
- 体重減少
- インスリン抵抗性を改善
- 空腹時のインスリン減少
- ガンのリスクの低下
- 脳機能、記憶、心血管系および代謝系の健康を改善
とくに現代人は、常に内臓に負担をかける生活が恒常化しています。1日3食の食事におやつなどの間食、飲酒、睡眠不足など24時間内臓機能がフル活動していて休む暇がありません。
オートファジーのファスティングによる効果は、健康の改善、内臓機能のリセット、病気の予防など、現代人が抱える悩みを解決してくれる大きなメリットをもたらしてくれます。
ちなみに、筆者が実際に実践した経過レビュー(1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目)記事もあります。参考いなるように本記事の最後にリンクを貼っておきます。
注意点・デメリット
実践する前に注意しなければならない人
基本的なところで、基礎疾患がある方、妊娠中の方、成長期の方などは医師の指示のもと行動することが必要となります。
健康のために取り組んで、結果健康を損ねるようなことがおきては本末転倒です。
栄養をきちんと補給する
オートファジーのファスティングをすると、食事を8時間という短い時間の中でとらなければならなくなり、栄養を摂る機会がそれまでより減少します。
基礎代謝(なにもしなくても必要な最低限のカロリー)を下回ると常にエネルギー不足となり、脳へのエネルギー供給も疎かになって、最悪危険な状態になりますので、効率よく食事や栄養を摂るように心がけてください。
筋肉の低下に注意
空腹時間が10時間を超えると、エネルギー源として体内に溜めていたグリコーゲンが枯渇し、次に脂肪や筋肉などを分解してエネルギーに変えていきます。
脂肪を減らす意味では有効ですが、筋力アップを目指すなら逆効果となります。
筋肉・筋力は何もしなければ、年齢が上がるにつれ減少していきますので、軽い筋トレを並行しておこなうといいでしょう。
まとめ
オートファジーのファスティングによるメリットは計り知れないものがあります。
ダイエット目的というよりは、身体の機能をリセットし、健康を維持継続することが大きな目標となりますので、無理をせずに長いスパンで実践していけるよう、普段の習慣から見直すことが肝要です。
ルルルのひとこと:3ヶ月毎日続けたら体重も体脂肪もかなり落ちました。詳細は下記「 ファスティング3ヶ月目の感想、レビュー 」にて!
ファスティング1ヶ月目の感想、レビュー。
ファスティング2ヶ月目の感想、レビュー。
ファスティング3ヶ月目の感想、レビュー。
筆者のファスティング中の飲み物を見てみたい方はこちら。
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